TOBとMBO
最終更新日:2021年5月30日
上場企業のM&Aを「上場企業が買収対象となるM&A」と定義すると、既にマーケット株価がついていることから、バリュエーションの基本的な考え方としては直近株価を参考として、そこにプレミアムをのせるという考え方となります。
上場企業の取得については、大きく下記の2パターンに分けられます。
・他社によるTOB(Take Over Bit:株式公開買付け)
・自社マネジメントによるMBO(マネジメント・バイアウト:経営陣による買収)
また、TOBについてはその性質により下記のように区分されます。
・対象企業の賛同の有無(友好的買収 or 敵対的買収)
・グループ内TOB(親会社による子会社・関連会社へのTOB→大半は友好的TOB)
TOBプレミアム
最終更新日:2021年5月30日
TOBプレミアムとは、TOBによる買付価格と市場株価との差分を言います。例えば株価100の企業に買付価格120でTOBをかけた場合、TOBプレミアムは20%と計算されます。
TOBプレミアムの特徴としては下記が挙げられます。
・一般的には20%~50%で設定されることが多い
・算定対象となる株価は「発表前日」、「発表(1 or 3 or 6)ヶ月前平均」が参照される
・TOBプレミアムの根拠としては下記で表現されることが多い
- 現在の経営の非効率性による買収後のアップサイド
- シナジー効果
- 知財・ノウハウ等のBS計上されない無形資産への評価
- 過半数取得することによるコントロール・プレミアム
2020年のTOBプレミアム事例
公開買付者 | 対象企業 | TOB後 所有割合 | TOB プレミアム | 買付代金 |
テイ・エス テック | 今仙電機製作所 | 29.5% | 41.1% | 48億円 |
シー・ファイブ・ エイト・ホールディングス | ソフトブレーン | 87.1% | 42.1% | 127億円 |
ヤマダホールディングス | ヒノキヤグループ | 50.1% | 20.2% | 127億円 |
コロワイド | 大戸屋ホールディングス | 46.8% | 41.8% | 72億円 |
アークランドサカモト | LIXILビバ | 92.5% | 31.7% | 519億円 |
Global Acoustic Partners LLC | ティアック | 54.7% | -58.7% | 9億円 |
昭和産業 | ボーソー油脂 | 87.7% | 40.4% | 16億円 |
IBJ | ツヴァイ | 90.6% | 31.5% | 35億円 |
BCPE Planet Cayman LP | 昭和飛行機工業 | 92.5% | 3.4% | 694億円 |
・グループ内TOB、自己株式取得は除く
・MBO案件は除く
・TOBプレミアムは「発表前3ヶ月平均」を掲載
・「株式会社」等の表記は省略
・各数値はSPEEDAより集計
【補足】
・コロワイドによる大戸屋ホールディングスへのTOBは対象企業の同意を前提としない、いわゆる敵対的買収に該当